【移住者インタビュー】坂本和夫さん・美栄さん”町も山も変わらない、普通に暮らせる小野郷です。”
~北山三村「住んでみたい」移住者インタビュー~
京都市内から、北山三村・小野郷に夫婦で移住。山間地域に住んで街中へ通勤するライフスタイルを選んだ、坂本さんご夫妻にお話を伺いました。
“住むために、小野郷に来たんです。”
「特に田舎暮らしがしたいとか、そういうのではなくて、私たちは、住むために来たんです。」明るい笑顔で話して下さったのは、京都市出身の坂本和夫さん。京都市西京区のバイクショップに務めておられます。小野郷で古民家をリフォームしたお住いに暮らしながら、毎日バイクで40分ほどかけて通勤しています。
元々仕事とプライベートに境界がなく、友人知人やショップのお客様を招いて、ツーリングのイベントを企画することもあったという和夫さん。「いつか、仲間を招いて自宅のガレージでBBQを出来たら良いなぁ。」そんな夢を叶えるために選んだのが、敷地がゆったりしていてワイワイできる小野郷の環境でした。小野郷には、昔から小浜方面へ遊びに行く際に国道を通っていたため馴染みがあったそうです。
自治会長の片山さん
“決め手は通勤の便利さと地域の雰囲気”
元々は、京都市上京区にある京町家を借りて暮らしていた坂本さんご夫妻。その町家を離れることになり「せっかくだから、よりよい環境で長く住まえる場所に引っ越そう。」と、移住先を探し回ることになりました。周囲の人に「移住先を探してるんです」と声を掛けているうちに、教えてもらった地域の一つが小野郷でした。小野郷以外にも京都市や周辺地域の移住先候補を訪ねましたが、バイク通勤を考えて距離や道の状況を調べ、地域の雰囲気なども比較して、最終的に小野郷に決めました。
小野郷自治会の片山会長に会って住まいの相談をすると、持主が立ち会いの下で、後に現在のお住いになる空き家を案内してもらいました。「空き家になってまだ3年しか経っていなかったのが幸運でした。」家の中にはたくさんの荷物が残されていたものの、家の傷みがひどくなかったため、フルリフォームしてここに住むことに決めました。
小野郷の風景
“スーパーまで15分、普通に暮らせるけど、困ったことも・・”
京都市中心部から車で30分の場所にある小野郷ですが、2015年には周山方面(右京区京北)へ抜けるトンネルも開通して、交通がより便利になっていました。「週1回は街中へ買い物に行くけれど、周山にある最寄りのスーパーにも車で15分あれば行ける。買い物環境は、街中にいた時と大きく変わりません。」山間集落である小野郷に引っ越しても、便利さは街での生活と大きく変わらないといいます。
一方で、自然豊かな小野郷ならではの困り事もあります。まず家の中にまで現れる、大きなサイズの虫にビックリ。冬の時期には、暖を求めてたくさんの虫が家の周りにやって来るので、洗濯物は部屋干しせざるを得ないことも。さらに、山間地域特有の湿気対策も大変で、引っ越してきた当初は湿気で家具を傷めてしまったこともあったそうです。分からないことや困り事は、自治会長さんや近所の方々に聞きながら、小野郷での暮らしを築いていっておられます。
小野郷のお家でガーデニングを楽しんでおられます
“マメな人だから、ここに移住できた”
街での暮らしも、小野郷に来てからの暮らしも、日常に大きな変化や不便はないと話す坂本さんご夫妻。しかし移住するまでには、空き家の購入や改修に関係する多くの手続きが必要となり、とても大変だったそうです。また空き家だったため、前の住人の荷物整理から、3年間使っていなかった井戸の掘り直し、お風呂とトイレが離れにあった家の大規模リフォームと大掛かりな準備が必要で、移住を決意してから住めるようになるまで2年かかったそうです。美栄さんは、「主人のようにマメな人がいてくれたから、移住できたのかもしれません。」と話し、手続きが苦手な人は不動産屋さんや司法書士さんなどの専門家に相談した方がいいともおっしゃいました。
また気になるご近所づきあいについては、和夫さんは引越し前の京都市内でも地域活動がさかんな地域で暮らしていた経験もあることから、小野町内会の役員を務めるなどしばしば参加されています。
秋の岩戸落葉神社
“小野郷に住みたい人は、もっといると思います。”
決まった間取りのアパートを借りてすぐ住めるような、都市部の便利さとはかけ離れたスタートでしたが、その分小野郷には、都市部では叶わないゆったりした暮らしがあるとのこと。満員電車に揺られることもなく1時間未満で都市部へ通勤でき、広い家とガレージを持てて、15分あればスーパーへ買い物にも行けます。
「今の状態では空き家の改修や手続きなど、住むまでのハードルが高い部分もありますが、小野郷のような場所に住みたい人は、きっともっといると思います。」まちづくりビジョンを掲げて、ブログやSNSで情報発信し、地域に外からの人も受け入れていこうとする小野郷の姿勢は、移住する前から感じていたそうです。
今では光回線も来て、インターネット環境も格段に便利になった小野郷。少しずつ、変化を続けています。「これからの夢は、このガレージにツーリング好きの友人たちを招くことです。」最近のツーリング風景の写真を見ながら、近い未来のビジョンを聞かせて下さいました。
■坂本和夫さんプロフィール
1975 年京都生まれ。京都市西京区のバイクショップ勤務。バイクの販売・修理やお客様に向けたツーリングイベントを企画・開催する。2015年から奥様の美栄さんと2 人で小野郷に暮らす。
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