雲ヶ畑 秋の足谷おむすび紀行
雲ヶ畑のことが、
京都府HPの中の鴨川真発見記に取り上げられています。
またまたお願いして、そのまま引用させていただくことにしました。
≪ 鴨川真発見記 ≫
http://www.pref.kyoto.jp/kyotodoboku/1330410736400.html
雲ヶ畑 秋の足谷おむすび紀行(第249号)
知らなかった!「山椒」を真発見
平成28年10月8日(土)は、雲ヶ畑足谷へ「鴨川おむすび紀行VOL4」と題して自然観察ツワーを開催しました。私の所属するNPO法人京都景観フォーラムの活動の一部です。
降水確率80%と高い確率で降雨が心配され、雨が降るのならとキャンセルされる方もおられたようですが、結果的には降雨にみまわれる事無く無事に自然観察をする事が出来ました。
雲ヶ畑バスもくもく号で終点の岩屋橋へと到着すると、雨が降る前に目的地まで到着しようと足早に足谷の入り口へと向かいました。
それでも道中には魅力的な植物が出迎えてくれます。最初に紹介されたのは、ハナワラビの仲間です。ハナワラビの仲間は、栄養を得るための大きく広げた「栄養葉」の他に子孫を残す為の「胞子葉」を立ち上げるそうです。この胞子から来年新たな子孫が芽吹く事でしょう。
<ハナワラビの仲間> <高く立ち上がる“胞子葉”>
横に流れるのは、一級河川鴨川に合流する祖父谷川です。この流れをたどってくと、第239号でご紹介しました、鴨川の真の源流へと繋がって行きます。
<祖父谷川の澄んだ流れ>
川沿いの木にアケビの蔓が巻き付いて、サツマイモの様な色合いのアケビがぱっくり口を開けて種を運んでちょうだいと言わんばかりです。手にとってみてみると既に鳥がその役割をかって出たようです。
<サツマイモの様な色> <中の果実は少し残してかじられて>
まだ実が手つかずかと思いきや、アリがその身の中に入り込み、甘い果実を物色していました。
<食べてみようか> <アリがいる>
その先に咲いている白い花が紹介されました。ただ単に白い花かと思いきや、ズームアップすると、なんとも芸術的な黒い斑点と黄色い水玉模様が見えてきました。
<白い花> <細かな模様>
珍しい植物が紹介されると、参加者の皆さんもスマホやカメラを構えて画像のお持ち帰りです。
<もっと近くで観察> <画像のお持ち帰り>
足谷に足を踏み入れると、林道脇の樹木に素敵な札が架かっていました。雲ヶ畑にお越しになった方はこの気持ちを共有出来るのではないでしょうか。
私はこの山がすき
雲ヶ畑がすき
雑木林が大好き
空の色がいい
澄んだ流れがいい
出会う人がいい
いっぱいあるけど
皆んな大好きだ
自然がいい、人がいい。この2年余り雲ヶ畑の自然と人に触れて思った事がこの一枚の札に溢れていました。
<雲ヶ畑の魅力が一枚に>
マツブサの実、春に来た時には緑色の房状に実っていた実は、秋を迎えて黒く熟していました。その実を味わってみると甘酸っぱい実りを感じました。
<黒く熟れた果実> <マツブサの実>
<食べてみてください> <甘酸っぱい>
今回ただ一人の小学生の参加者、小林初菜ちゃんが足元をじっくり見ながら歩いていると、団栗や栗を見つけては報告してくれました。
<ドングリ見つけた> <クリ見つけた>
行く先々で、紫色に熟したアケビがぶら下がっています。10日程前に下見に来たときには、たった1つだけ熟したアケビがありましたが、その間に次々と熟したようです。
<行く先々でアケビ> <下見の際に1つだけ立派なアケビ>
初菜ちゃんが見つけたのは、実りだけではありませんでした。山のやっかい者、「ヤマビル」です。知らぬ間に皮膚に吸い付き、その小さな体をぱんぱんになるまで血を吸うやっかい者です。この日も「ヒル下がりのジョニー」という撃退用のスプレーを準備しましたが、数名の犠牲者が出ました。
<写真中央にヤマビル>
毒があるわけでは無いので、「かゆい」「血が止まりにくい」以外は害は無いのですが、血を吸ってぱんぱんに膨れあがった姿には恐怖を感じる方も少なくないようです。
春の山菜天ぷらの定番「タラの芽」も秋を迎えて「タラの実」へと姿を変えています。茶色く実ったタラの実を見て、「酒の肴タラの芽の天ぷら」にしか縁が無かったとおっしゃる参加者もおられました。
<タラの木> <タラの実>
ぷっくり膨れたキノコの仲間を、枝でつつくと真ん中の穴から胞子が飛び出しました。つんつくつん。
<身を寄せ合うように> <つんつくつん>
他にも色んなキノコが傘を開いていましたが、キノコの知識はありません。触らぬ神にたたり無しです。
<キノコ> <キノコ>
またまた初菜ちゃん何かを見つけてくれました。「バッタ」です。昆虫好きの参加者が一目見て「フキバッタ」と教えてくださいました。
足谷の山は、希少種の宝庫です。その希少種を保護する活動をされているのが、今回ご案内頂いた「雲ヶ畑足谷人と自然の会」です。それを告知する看板も立てられています。盗掘等なさらないでください。
<フキバッタ> <保護活動の告知>
そして、今回の山案内の目玉「山椒」の観察です。皆さんは、山椒というと何色のイメージがありますか。多くの方は実山椒の緑色のイメージが強いのではないでしょうか。実は秋のこの時期の山椒は熟して「真っ赤」に染まります。
<赤く熟した山椒の実> <熟して弾ける皮 中には黒い実>
私も下見の際に初めて知ったのですが、真っ赤に熟すのです。その事を教えてもらった際に、「知らなかった。知ってる人は少ないのでは?」と話すと、「誰でも知っているでしょう」との返事がありました。
その後10人くらいに尋ねてみましたが、赤くなるのを知っていたのはたっったの一人でした。この日の参加者もその事を知っておられた方は少なく「へ~」という反応が起こりました。
更に山椒はミカン科で、よく見るとミカンの皮同様のぶつぶつがあります。その皮の部分が熟するとはじけます。その皮の部分を乾燥させて粉にした物がウナギの蒲焼きにかける山椒の粉なのです。
<ミカン科の山椒 表面にミカンの様なつぶつぶも 山椒の香立つ>
ここで、山主さんの「笑えるエピソード」を聞かせて頂きました。赤く熟した山椒の実をとげをかき分けて収穫し、どっさり持ち帰り、山椒の粉を作ろうと一生懸命皮と中の実をより分けたそうです。
真ん中の黒い実が山椒の粉になると信じて、皮を吹き飛ばしながら黒い実が準備されました。さて、どうしたものかと詳しい方に電話で問い合わせたところ、「山椒の粉は皮の部分。なんとバカな事をして・・・」と笑われてしまったというのです。
この詳しい方が今回ご案内頂いた西野氏です。山椒は「花山椒」「芽山椒」「実山椒」「山椒の粉」とその季節に応じて4つの変化で楽しめる万能な樹木です。山主の島岡氏も自分の山に山椒を沢山植樹して山椒畑を作りたいと夢を語られました。
相変わらず足元を見つめながら進む初菜ちゃんが、指さして「メロンの柄に似ている」と教えてくれました。人それぞれ発想が豊かだと感じた瞬間でした。
<メロンの皮の様に>
ベニバナヤマシャクヤクの実が赤と黒の果実を付けています。下見の際はぱっくり割れた実から原色の果実を覗かせていた実は、その姿をあらわにして猛烈にアピールしている様でした。
黒い実が「本果」といって本物の種のある果実。赤い実が「偽果」といって種の無い偽物の果実だそうです。赤い果実「偽果」で誘って本物の果実を食べてもらう作戦のようです。
<下見の際のベニバナヤマシャクヤクの実> <ツワー当日の様子>
こうして雨に降られる事無く、下山する事が出来ました。下山後は久保常次、清美夫妻の農家民宿「ぜーもん」でツワーのコンセプトでもある「おむすび」を参加頂いた皆さんで握ってお昼ご飯を食べました。
その後、足谷ツワーの感想を参加者全員が語り合って、雲ヶ畑の自然と人の素晴らしさを実感する有意義な時間を過ごす事が出来ました。
<参加者が自ら握るおむすび紀行>
<配膳も参加者で> <感想を語り合って無事終了>
参加頂いた皆さん、そして鴨川真発見記をご覧の皆さん、また鴨川源流雲ヶ畑にお越しください。そんな機会を用意してお待ち申し上げております。
(京都土木事務所Y)